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〔 マチ 〕
2012年2月26日マチが虹の橋へ旅立ちました。
2011年末頃から急激に痩せ、何回か病院にも連れて行ったが病気は治らなかった。
1年位前からポーチのチャリ猫から、家の中の玄関猫になっていたマチは亡くなる前日の夜、おとんを外に呼び出してどこかに連れて行こうとしていたが、いったいどこに行こうとしていたのか今となってはわからない。
一度は人間に裏切られ心を閉ざしてしまったマチは、もう一度人間を信用してみようと時間をかけてゆっくりと心を開いてくれたように思う。マチのまわりはいつも時間がゆったりと流れ、まるで菩薩のような雰囲気が漂っていた。
今は大好きだったバスとメとそして盟友茶吉かあちゃんと一緒に虹の橋でくつろいでいることでしょう。今までマチを慕ってくれたみなさん、ありがとうございました。
〈出会い〉
2006年頃、いつものように公園でバス・ヴィーナの散歩をしているとき、公園の隅でこちらを見ている猫がいた。また、新しい野良猫が増えたな…。と思っていたら、そのうち頻繁に現れるようになったので、仲良くなりたいのかなと思い、舌を鳴らしながら近づくとサッと逃げてしまう。まだ20m以上も離れているのに逃げるとは、かなり警戒心が強い。というより人間不信が強そう。野良にしては、そんなに痩せていないし、毛並みも汚くない。おそらく元飼い猫だろう。身体はあまり大きくない成猫なので、メスだろうと推測していた。顔の上半分が黒いマスクをかぶっているようなのでマスクの「マッチャン」と名付けていたが、いつの頃からかマッチャンから「マチ」という名前に変わっていた。(おかんは「マチマチ」と呼んでいる)
なんとか捕獲して避妊手術をしないと、また不幸な野良猫が増えてしまう…子猫と違って成猫は知恵と用心深さを持っているので、まずは時間をかけて仲良くならなければと餌付けをして信頼を得るのに2年以上かかった。マチは人間不信と猫不信も持っているので、うちの餌場に来るときは他の野良猫がいない時間帯に、こっそり食べにきていた。こういう子が余計に気になる。いつも思うことだが、せっかく仲良くなった野良猫をケージの中の餌におびき寄せ、だまし討ちにして捕獲することが心苦しい。積み上げた信頼が一気になくなってしまう悲しさとせつなさがある。病院に連れて行った結果、案の定マチは手術済みだった。野良になって間もない頃からずっとマチを見ているので、近隣の誰かがマチを捕獲した形跡もないし、やっぱり元の飼い主が避妊手術を受けさせたんだろう。
病院から帰ってマチの住み慣れた場所でリリースをしたとき、裏切られたショックと恐怖で、もうここには戻ってこないやろうな…と思っていたが3日後、マチがご飯を食べに現れた。嬉しさと同時に他の場所では生きていけない悲哀を感じた。
それからは捕獲前以上に仲良くなり、絶対的な信頼を得るようになったので家の中に入れようと何回か挑戦したが、ク・ケに対する用心深さは変わらない。玄関までは入るがドアを閉めようとすると逃げ道をふさがれる恐怖を感じるのかパニックになって逃げ出してしまう。仕方がないので玄関ポーチに猫小屋(ダンボール製)を置いてやると機嫌良く寝泊まりをするようになった。しかしご飯を食べに来る他の野良猫たちのジャマが入り、なかなか落ち着けない。そこでポーチに置いてある自転車の後ろカゴをマチ専用の寝床にした。これが大変気に入ってもらえ「チャリ猫・マチ」が誕生した。寒い冬は古着のダウンをカゴにかぶせて、底にはレンジ式湯たんぽを置き、夏はTシャツをかぶせて風通しのいいカゴに仕上げる。
外出先から戻って一番先に出迎えてくれるマチの姿を見るとホッとする。
ヴィーナの散歩には、いつもついて来て公園で新聞を読んでいるおとんの横でおとなしく座っている。2匹が仲良く並んで座っている様子を道行く人達が不思議そうに見ているのがおもしろい。しかし、かん高い声をあげる子供が公園に来るとさっさと家に帰ってしまう。子供はしつこく追いまわすのでマチにとっては天敵である。2008年頃、凶暴なオス猫チョースケに襲われ、姿を見せなくなったときは三日三晩探しまわったこともあった。外での生活は危険がともなうがマチは自由を楽しんでいるように見える。最近は「マンション」と「ヘーチャン」という親子猫に気に入られ、つきまとわれているが本人はまんざらでもない様子。
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